たけのこの本棚

読んだ本の感想を気ままに書いてます。

消える上海レディ

消える上海レディ

島田荘司といえば御手洗潔シリーズで有名ですが、「消える」シリーズなんてものもあるんですね。初知りです。
この「上海レディ」はシリーズ二作目だということですが、この作品からでもすんなり入ることができました。ただ、島田荘司ということで少し期待しすぎたかもしれません。なにせ御手洗シリーズの「アトポス」や「異邦の騎士」などが傑作でしたから、どんな作品なんだろうとわくわくしてしまいました。
今作では取材で神戸ー上海を結ぶ船に乗ることになった主人公が、自分にそっくりの顔をした謎の上海レディに襲われる、というサスペンスの強いストーリー仕立てとなっております。主人公が謎の殺人鬼に襲われて錯乱している様子はさすが島田荘司だと思うのですが、あれだけ引っ張った謎はあっさりと解決してしまいまして、ちょっと拍子抜けです。
見ると初出が1980年代なので、今作は島田荘司の初期の作品なんですね。だからというと変ですが、彼の青い部分を垣間見た気分です。

守護天使

守護天使

たまには明るいラブコメも読まないと気が滅入ってしまいますね。
というわけでラブコメです。冴えない50代のオッサンが女子高校生に恋をする話で、彼女のためなら殺人鬼にも果敢に立ち向かっていく姿が描かれています。しかし、まあ、汚いです。比喩ではなく本当に汚いネタばかりです。特に後日談のラストはス●トロファンにはたまらない(?)のではないでしょうか。私は知りませんが。
しかし文章の切れ味はいいので、サクサクと楽しく読み進めることができます。描写が少ないのも、下ネタなのに下品じゃなさをかもしていると思います。ラブ要素を期待して読むとがっかりしますが(笑)、ちょっと一息ついて笑いたい人には向いていると思います。ただ、お食事中は止めましょう(笑)

黒猫の小夜曲

黒猫の小夜曲

前回の続編です。今回は黒猫のクロが主役です。前回登場した、あのキザったい道案内人が主人公です。
今回は記憶喪失の魂の女の子と一緒に、地縛霊たちの未練の謎を解いていきます。前作同様一見連作に見えるけど実は全部つながったお話、という構成で、最後はどんでん返しの連続。ちなみに前回の主人公レオも大活躍です。すっかりお馬鹿犬と化してしまいましたが(笑)
今作は前作より世界が広がり、舞台はホスピスのある町の中。前作のように人がぽこぽこ死ぬことはありませんが、ラストはやはりほろりとくるものがありました。主人公クロのキザなキャラも最後にしっかり生きています。頑固で男気あふれるレオ(今作ではすっかりなりを潜めてしまいましたが…)とはまた違ったカッコよさがありますね。猫ですが。可愛いですね。
また新しい、がさつな口調の道案内役が登場しましたので、次回作の主人公は彼かな? と思いつつ、次回に期待です。

死夢

死夢

ミステリというよりホラーかな? とも思うのですが、謎要素の方が強そうだったのでミステリにカテゴライズを。
ある夢を見たら死んでしまう、という謎に主人公が立ち向かっていく話なのですが、主人公の中学時代の友達が面白いようにぽこぽこ死んでいきます。全員ある共通した夢を見た後突発死を遂げているが、彼らにはある共通点が――というシナリオで、主人公は夢のスペシャリスト。話のところどころに夢のトリビアがちりばめられています。レム睡眠のことは知っていても由来までは知らない方も多いのでは? 結構ニッチな知識も身に付きます。まあ、それはおいといて。
話はずいぶんシンプルに進んでいき、400ページというなかなかのボリュームながら一時間もあればさくっと読み終えることができます。特にラストはスピーディーに進み、いい意味であっけなく終わりを迎えてしまいます。あっけない、というところがミソです。どうあっけないのかは、読んでからのお楽しみということで。某所ではわりと批判的なレビューの多い今作ですが、私は好きですよ。

奇跡の紅茶専門店

奇跡の紅茶専門店

皆さん紅茶は好きですか? 私は大好きです。お茶っ葉のこだわりはありませんが、ミルクティーが特に好きです。
今作はある一軒の紅茶専門店に訪れるお客さんと、お店で働くマスターのやりとりを描いた本です。あえて小説という書き方はしません。今作は小説と自己啓発本の真ん中に位置する本です。このお店を訪ねるお客さんは皆人生のどん底にいて、マスターがときに優しく、時には手厳しく生きる手助けをしてくれます。マスターの言葉は確かに力強いですが、登場人物たちをすくったのはそれだけではありません。彼らが助けられたときにはいつもそばにおいしいお茶があり、ときにはおいしいケーキもありました。
巻末には彼らのその後を描いた後日談が書かれていますが、皆さん各々、自分の生き方に合った方法で前向きに生きています。読んだあとちょっぴり前向きになれて、おいしい紅茶が飲みたくなる。そんな本だと思います。